子どもとつくる楽しい国語・文学の授業

jdc2014

jdc2014 の展開

 これまで、2008年度から2009年度にかけては「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業」(1)~(4)として小さな国語科授業・実践研究会を実施してきました。また、2010年度からは2013年度にかけては、「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開」として年1回の合計4回の小さな国語科授業・実践研究会を実施してきました。その概要は、下記に記しています。 

2008-2009 JDC(1)~(4)

「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業」(1)~(4)

◇第1回 2008年8月26目 文学の授業
◇第2回 2009年2月 1日  説明文の授業
◇第3回 2009年8月11目 つづることの復権と復興をもとめて
◇第4回 2010年2月20日 「演じること」の楽しさを生かして

2010年度 S-JDC(1)

第1回小さな国語科授業・実践研究会 12月4日(土)

子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(1)――科学する意欲が授業を変える

 小学校学習指導要領の全面実施を来年度に控え、子どもたちの読解力・思考力・活用力・判断力・表現力などの育成ということがクローズアップされています。わたしたち大阪国語教育実践の会は、現実の事実や事象をそれを規定する「理法」にもとづいて把握せんとする教師や子どもの科学する意欲が国語科授業を変えていくという考えのもと、ここにふたたび大阪JDCの活動をはじめていきます。
 「龍馬伝」のヒットに見られるように、大きな転換の求められているこのときに、新たな国語科授業をひらいていく試みに、どうぞ、ご参加ください。

  今回は、昆虫に詳しくゆたかなつづりかた教育実践を展開されている大阪綴方の会の大村一(はじめ)先生、長年にわたり教科書編集にたずさわり「ことば学びの日常カリキュラム」を提唱されている国語教育探究の会・代表の中洌正堯(なかす・まさたか)先生をお招きし、教師や子どもたちの科学する意欲を高め、のびやかなものにしていく国語科授業のありかたについて考えていきたいとおもいます。

12月4日(土) 13:00~17:00 天王寺キャンパス

■ あいさつ 「科学する意欲と「は」で考える力と「理」で推す力」(田中俊弥)
■ 研究協議(1) テーマ:子どもの科学する意欲をどこに求めるのか?

「子どもと科学」  吉岡尚孝(堺市立宮園小学校)
「炭素(C)の世界」 野中貴也(枚方市立長尾小学校)

■ 研究協議(2) テーマ:科学する意欲をどのように高めるか?

「つづりかたと科学する意欲」大村 一(大阪綴方の会)
「教科書教材と科学する意欲」中洌正堯(国語教育探究の会・代表)

2011年度 S-JDC(2)

第2回 小さな国語科授業・実践研究会 12月3日(日)

子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(2) ことばと伝統文化――ことばと生きる・ことばを生きる

  本年度、小学校の学習指導要領が全面実施され、国語教科書も一新しました。それにともなって、ことばや伝統的な言語文化に関する教材が数多く盛り込まれることとなりました。
  この小さな研究会では、子どもたちの表現力や言語生活ということに焦点をあてながら、そうしたことばと伝統文化とのかかわりについて考え、これからの授業実践のありかたについて議論を深めていきたいとおもいます。そこでこのたびの研究会では、俳人で、正岡子規研究の第一人者でもある坪内稔典先生をお迎えし、近代文学としての俳句や短歌をきりひらいていった正岡子規の言語生活について理解を深め、そこから見えてくることにことばと伝統文化の授業づくりのヒントを得たいと考えています。

12月3日(日) 13:30~16:30

■基調提案「教師も随筆を書き出そう」(田中俊弥)
■研究協議テーマ:伝統的な言語文化の指導を考える

 「俳句と伝統文化」 岡 清範(枚方市立樟葉小学校)
 「古典と伝統文化」 角銅正和(岸和田市立春木小学校)

■記念講演

坪内稔典先生「正岡子規の言語生活―ことばと生きる・ことばを生きる―」
京都教育大学名誉教授・船団の会(代表)/『正岡子規』(岩波新書)の著者

2012年度 S-JDC(3)

第3回 小さな国語科授業・実践研究会 12月16日(日)

子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(3) 教師のホスピタリティをいかす〈ことばの教育〉――子どもへの〈もてなし〉ということ

2012年12月16日(日)、天王寺キャンパスにて、「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(3)として研究会をおこないました。

画像の説明

いま政治の課題として、教育改革のことが大いに取りざたされています。
この小さな研究会は、子どもたちの表現力や言語生活を育み、ゆたかにすることを大切にしています。子どもの表現やことばは、教師の〈もてなし(ホスピタリティ)〉によって、ひらかれ、意欲的なものになってくるということは、つづりかた教育実践が教えているところです。
そこで、このたびの研究会では、〈もてなし〉ということをテーマに、ホスピタリティを研究課題にしている若き院生と、校内フォト新聞の実践を積み重ねているベテラン教師を迎え、ことばの教育の原点に立ち返りながら、いま問われている教育のありかたについて、カフェふうに語らいたいと考えています。

■あいさつ「子どもへの〈もてなし〉ということ」(田中俊弥)
■研究発表とその討論

「読むこと」の授業に活かしたい教師のホスピタリティ
 長崎励向(大阪教育大学大学院・実践学校教育専攻一年次) 

■実践発表とその討論

子どものなかに自然をみつめる〈眼〉を育てる校内フォト新聞の試み
 ――2010年度からの三年間の実践にもとづいて
 増田俊昭(東大阪市立荒川小学校・つづりかた教育研究会)

2013年度 S-JDC(4)

第4回 小さな国語科授業・実践研究会  12月1日(日)

子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(4)

2013年12月1日(日)13時30分より天王寺キャンパスにて、「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業の新展開(4)」として研究会を開催しました。「大阪の笑いを活かす〈ことばの教育〉」をテーマとし、笑いをお題とした句会を開き、落語家の[[桂三風さん>http://blog.sunpoo.net/]]のお話をお聞きしました。少人数の研究会でしたが、お豆腐がぷるぷるぷると笑ったり、クリスマスに苦しみますと嘆声がもれたり、楽しい句会となり、三風さんのお話に会場は、大きな笑いに包まれていました。大阪の笑いは、リアリズムやねんと教えていただきました。

案内は、ここをクリック研究会の案内

研究的な実践者でありたい(田中俊弥)

はじめに

 一九八五年四月、広島大学附属中・高等学校で国語教師をはじめて、今年で二十五年。一九九三年四月、統合移転を終えた柏原の大阪教育大学に転じ、二〇〇一年四月からは、天王寺にある夜間学部と夜間大学院に在籍している。大阪に来て、中西一弘先生、小田迪夫先生はじめ、野名龍二先生、高梨敬一郎先生、坪内稔典先生といった第一級の先達に親しくご指導を賜った。研究的な実践者でありたい。そんなおもいで、今日まで歩んできた。
 夜間大学院の実践学校教育専攻は、現職教員のための大学院として一九九六年四月に発足。わたしのゼミからは、すでに十人をこえる現場の先生たちが修士論文を書き上げて修了している。二〇〇五年、学部のゼミ生でもあった南公美子さんと吉岡尚孝さんの指導にあたって、ふたりの実践研究を軸に、ゼミの修了生も交えて共同で授業づくりに取り組んでいくことや研究室の縦のつながりをつくることを目的として、JDC(ジェイディーシー)(「実践(じつせん)、どうやねん、ちょっと」)というごく内輪の研究会を月に一度のペースでひらくこととした。
 以来、それこそ細々と研究会をつづけてきたが、二〇〇八年春には、会則をたてて、二カ年限定の大阪国語教育実践の会(通称はJDC、ないしは大阪JDC)という研究会を発足させた。会のメンバーをつなぐモットーは、コミュニカティブ(対話的)ということであった。

子どもとつくる国語・文学の授業

 JDCの前史として、実は、坪内稔典先生のご提案になる句会研究会の活動がある。この研究会は二〇〇三年六月に発足し、二カ年限定の活動を開始。句会を学校教育の現場に広めることを目的とした。わたしは事務局を担当し、天王寺キャンパスで三度ほど句会研究会を開催。わが研究室のメンバーからも実践発表をおこなった。
 句会は、子どもの表現から出発し、それを読み合うことを基本とする授業形式で、対話的であること、すなわちコミュニカティブということがその授業の要諦である。わが会のメンバーは、だれもが句会を国語の授業としてとても大切にしている。
 それから、高梨敬一郎先生の提唱する「自然なイントネーション」にもとづく音読・朗読の考えやその理論(『これが本当の朗読だ』メディアイランド)が、国語科授業づくりの根幹であり、それがわたしの国語科授業論の基盤にあることを共通理解している点にもひとつの特色がある。
 会のメンバーは、子どもの表現を大切にし、それを確かに受容する、コミュニカティブな教師でありたいとおもって、日々、国語の授業づくりに取り組んでいる。

大阪国語教育実践の会の展開

 年に二回の公開の授業研究会を開催し、そのつど機関誌『大阪国語・JDC』を発行することをノルマとして、わが会はスタートした。その志は、小砂丘忠義(ささおかただよし)が主宰した『綴方生活』にならい、ひろく「コトバの教育」の新拓野を求めて、「対話的な国語科」を国語教育の中心教科として鋭意前進していくこと、すなわち、子どもにとっても実践者にとっても、自由で創造的な「子どもとつくる楽しい国語・文学の授業」の実現を意企するものであった。        
 二〇〇八年八月の第一回研究会は、詩歌や物語といった虚構をもととする言語表現だけを文学と考えず、随筆や日記、哲学や評論などもまた言語表現による作品として広く文学であるととらえ、それを教室という共同の場で享受する授業、対話や話し合い、子どもたちの音読や創作的な表現をとおして文学を楽しむ授業づくりについて考えた。講師として高梨敬一郎先生をお招きし、三つのワークショップを設け、絵本、音読、句会をとりあげた。参加者は、目標の百人を越えた。
 二〇〇九年二月の第二回研究会は、小学校の説明文教材の授業に焦点をあて、題材の広がりを追求することとその授業展開について提案した。講師として、料理人の大槻勝久氏(「益広(ますひろ)」代表取締役)をお招きし、和食の伝統と「食と料理の基本」について学び、前回同様、授業づくりに関する三つのワークショップをひらいた。参加者はごく少人数であったが、個々の実践者の力量が発揮された研究会となった。この会では、前回CD―ROMで発行した『大阪国語・JDC』創刊号を冊子とし、第二号はCD―ROMのかたちで配布した。
 二〇〇九年度になり、八月の第三回研究会は、午前からの開催に枠をひろげ、お招きする講師も二人とした。また、今回は、テーマを前面に出し、「つづりかたの復権と復興のために」をかかげた。会のメンバー以外にも、ゼミの院生や修了生の協力を得て、ワークショップに中学・高校部会も設けた。いわばバージョンアップをはかった。今回、講師として、中洌正堯先生(もと兵庫教育大学長で、国語教育探究の会代表)と野名龍二先生(『綴方教育論』の著者)をお招きした。戦前・戦後のつづりかたの歴史に学び、いまほんとうに大切にしなければならない課題は何なのかを実践研究報告もまじえて協議した。
 中洌正堯先生の峰地光重の業績に関するご講演と野名龍二先生のご講演での生資料を機関誌に取り入れたいということもあって、第三号の発行は遅延した。大阪綴方の会や国語教育探求の会からの参加も得て、八十人程度の充実した研究会となった。
 二〇一〇年二月、ノルマとして課してきたラストの研究会は、「演じること」をテーマとしてかかげた。詩のことばと演劇のことばを大事とする高度で楽しい国語科授業の実現を求めて、二人の専門家を講師にお招きし、厚かましくもワークショップまで主宰していただいた。詩集『あまのがわ』でH氏賞を受賞され、子どもミュージカルの上演にもたずさわっておられる山本純子さんと、落語家で子どものための「落語体験ツアー」などを開催しておられる桂三風さん(桂三枝の一門http://blog.sunpoo.net/)をお招きし、ことばとからだをのびやかにする方法や落語という語りの文芸がもっている本質を「演じること」の実践をとおして楽しく学ぶことができた。
 最終回は、まったく講師頼みの研究会で、わが会の力量のほどを痛感することとなった。しかし、参会者それぞれに国語の授業を担当する教師の力がひらかれていく時間を体感することができた。この研究会で、機関誌第三号のCD―ROMを配布したが、第四号の発行には及ばなかった。

これから

 大学院レベルの実践研究を展開していきたい、そんなおもいで、なかば時流に対峙するかたちで、大阪国語教育実践の会を展開してきた。聞く力・話す力を育てるための音読、それにもとづく説明文の授業、さらには子どもたちのゆたかな題材やその表現力に拠点をおく「つづること・つづりかた」の指導、「演じること」をとおして格段にレベルアップしていく国語科授業の実現をめざした研究会は、わが会のメンバーの力量形成に資するものでもあった。
 大学院における修士論文指導をとおして見出した研究成果を実際の学校現場の授業研究に生かし、研究会において新たな実践研究の方向を提案していく営みは、わたし自身の国語科授業論を鍛えることにもつながった。また、お招きした講師の先生とのつながりから研究会相互の連携や新たなネットワークをつくることもできた。
二〇一〇年度、大阪国語教育実践の会の第二期がはじまる。機関誌第四号の発行とともに、これまでの研究会の成果を整理し、より発信力のある研究会をめざしていきたい。また、学部のゼミ生やその卒業生との連携も密にしながら、より広範なネットワークのもと、ブランド力のある研究室・研究会をめざしてさらに前進していきたい。
 当面、知識基盤社会といわれる今日の社会状況に棹さしながら、ワールドワイドな視点から自然科学を学ぶことと国語科授業とのかかわりに問題意識をもち、子どもの生活の事実にもとづいた、新生JDCの刺戟的な研究会の開催をめざして、今後も月例の研究会を積み重ねていきたい。

画像の説明
543-0054
大阪市天王寺区南河堀町4-88
大阪教育大学教育学部(第二部) 田中俊弥
E-mail:toshiya@cc.osaka-kyoiku.ac.jp

第二部・実践学校教育専攻のホームページ

第二部・実践学校教育専攻のホームページ(第二部HP)は、いまは初等教育教員養成課程のホームページにリニューアルしています。ぜひ、そちらもご覧ください。

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